マンションの管理費と修繕積立金。マイホーム購入派(既所有者も含む)であれば毎月の支払いの事なので理解あり、賃貸派には何のことかさっぱりという方もいるでしょう。しかしながら、いざ購入を考える時にはこの二つは住宅そのものの取得金額と同等、いやそれ以上に重要な検討事項だと思います。
このあたりを私が購入をすることになった場合に備えて整理しておきたいと思います。
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ローンを完済しても月ごとに発生する費用、管理費・修繕積立金とは?
管理費も修繕積立金も一般的には分譲マンションを購入する際に必要な経費となります。これは所謂、マンションの共有部及び設備の管理・修繕に充当される費用ですから、マンションを購入すれば自分の部屋のみの費用を負担すればいいわけではなく、このような設備への費用も必要になるわけです。
管理費
管理費とはマンションの共用部に関して管理、維持、保全のために充当される費用です。具体的にはエントランス、ゴミ置き場、エレベータ、階段、廊下、屋上、ベランダ、その他マンション特有の共有設備の清掃や保全を行う為の費用であり、管理人やコンシェルジュの人件費も含まれます。
修繕積立金
修繕積立金はマンションの共用部に関しての劣化や老朽化に対する補修に備えて費用を毎月積み立てるものです。新築マンションを購入する際など、大抵の人は「最新の建築であり、コンクリート造のマンションなので躯体だけでなく設備もそうそう劣化はないだろう」と考えるものですが、意外に数年で耐用年数を超えるものが多く、例えば鉄部の塗替えは、雨に濡れる部分が4年ごと、雨に濡れない部分でも6年ごとに実施するのが望ましいとされています。
その他、外壁やコンクリート部分の補修、屋上防水の補修など、大掛かりになりがちな工事はおおむね12年周期が目安とされており、実際に築後10年程度で第1回目の「大規模修繕工事」(補修をいくつかまとめて実施する修繕)を行うマンションが殆どです。
その工事費用はマンションの規模などによって異なりますが、数千万円から数億円にもなるようですので、必要となってから一括で集めようとしても例え区分所有割合で分担するものの、殆どの住人には支払えないものでしょう。そこで毎月の管理費と同様に各区分所有者から徴収する方式になっています。
管理費・修繕積立金をめぐるトラブルとは?
マンション購入(所有)に対して必須なこの2つの費用。多くのトラブルを起こす可能性を孕んでいます。
毎月発生する費用であること
気を付けなくてはならないのが自分の部屋内の取得に係る費用とは全く異なるので、ローンを完済しても住む限りは毎月必ずかかる費用だということです。これは当然、マンションを購入する際に知っておかなければならない項目ですが、意外と購入時点で把握していない人もいたりするものです。
ローンとは別物ですから、月々の支払い額は「ローン返済額」+「管理費」+「修繕積立金」となります。賃貸と比較してのメリットとして、購入派がもつ意見として、”賃料>ローン返済額となり月々の負担が減るから”というものがありますが、この「管理費」+「修繕積立金」という2つの費用を忘れているケースがあります。この2つは合わせて新築時でも通常は一般的には2万円程度かかると思いますのでこの意見を肯定するにはローン支払い額は少なくとも現在の賃料-2万円程度でなくてはなりません。
年を追うごとに段階的に増加する費用であること
そういうことです。これが購入する際に将来の支出を考慮する必要のある大きなポイントですね。
大抵の場合、修繕積立金は数年ごとに増額されます。マンションは、老朽化するほど大規模修繕工事にもお金がかかるようになるので当然と言えば当然ですが。新築時でも通常は規約に想定が記載されていると思います。
いい事例があったので紹介しておきます。
このマンションに住み始めて4年になるが、なんと来年から修繕積立金が倍になるというのだ。現在は管理費1万円・修繕積立金5,000円の合計1万5千円を支払っているのだが、これが合わせて2万1千になる。これだけなら何とかなるのだが、よくよく聞いてみると修繕積立金は5年毎に5000~6000円づつ上乗せされていき、最終的には3万円(管理費を合わせると4万円)になるという事。
新築マンション購入後の数年で合わせて月々3~4万円となりローン返済後期には月々6~7万円との事例に当てはまってしまうと目も当てられません。このケースに陥る一つの要因として例えば新築マンション購入時の不動産業者からの安易な見積もりがあると思います。大抵、管理費・修繕積立金の項目は「現時点でのものであり、今後変更される可能性があります」とだけ記載されています。この辺りはよく把握しておく必要がありますが、問題なのは売主(営業)は売ったらおしまい、管理は管理組合になるんですよね。不動産業者にあとから詰め寄っても意味がありません。
所有している限り永遠に続く費用であること
そういうことです。”住宅は資産であり、ローンさえ完済すれば自分のものなので老後も安心”という購入派の意見は根強いですが、住み続ける限り一定のコストは発生します。戸建てのように全く月々の支払いがなくなるわけではありません。上記のようにローン完済時で月々で7万円程度の額になっていると年金に占める割合も相当なものでしょうし、安く住み替えた場合の賃貸よりも支払いが多くなる可能性もあります。 *ちなみに戸建は支払いはないですが、自分で積立を行い修繕しないと、終の住処にできません。
費用の額が適切ではない恐れがあること
これにはどちらに偏るか、2つありますが事実としてこれだけ所有者の負担が増えても”まだ足りないケースが多い”というのが現状です。
国土交通省が5年ごとに実施している「マンション総合調査」(2008年度)によれば、工事費をすべて修繕積立金で用意できたマンションは60.5%にとどまり、他は費用の一部あるいは大半を一時徴収金や金融機関からの借入金に頼っている。借入金は当然ながら返済しなければならず、工事後の管理費や修繕積立金をこれに充てているのが実情だ。
出典:HOME’S PRESS
まだ足りないということは、臨時での徴収がある可能性が存在するということですよね。
隣人などが足を引っ張る可能性があること
マンションとは戸建てと違い、運命共同体。宇宙船を購入するようなものです。自分の部屋だけでなく、船全体のメンテナンスに目を光らせなければなりません。他人の部屋の中が荒れても、航海は可能ですが共同でメンテナンスすべき場所の負担を誰かが止めた場合はみんなで穴埋めをしなければなりません。穴埋めの場合は当然、負担が増えるでしょうしそれができないと、航海不能になりますよね。
「マンション総合調査」(2008年度)によれば、管理費と修繕積立金を3ヶ月以上滞納している居住者がいるマンションは全体で38.5%、築4年未満のマンションでも18.2%にのぼる。
出典:HOME’S PRESS
管理費や修繕費の相場は?
これはマンションの事情がそれぞれ異なりますから一概には言えませんが、その金額が他のマンションと比べて高いのか安いのか質問されたら、答えられる人はあまりいないのではないでしょうか。
管理費:マンション規模で相場は異なる
東京におけるマンションの管理費の平均は、専有面積1㎡当たり200円を超えるくらいだと言われています。3LDKにおける一般的占有率の70㎡なら14,000~16,000円です。これは建物の規模によって差があり、50戸未満は規模のメリットを受けにくく250円程度、100~200戸台は200円、300戸以上ともなると共用設備の充実から230円程度というデータがあります。
詳細はこのあたりが参考になると思います。➡マンション管理費が割安か割高か その相場を知ろう
修繕積立金:専有率で異なる
一般的に15階建ての中規模マンションでは、1㎡辺り202円が適正な修繕積立金の相場と言われています。管理費とあまり差がありませんが75㎡なら75×202=15,150円/月が適正と言えるでしょう。但し、上記の通り経年で増加しますし、修繕必要見積額や滞納者有無によっても変わると思います。
結論:しかし、必要な金額である。
まあ、そういうことです。マンション躯体の寿命は90年とも100年以上ともいわれます(※)が、それを実現するためには定期的な補修が必要なほか、設備などを一定期間ごとに取替えることも欠かせないことは明白です。マンション購入時は部屋を買うのではなく、やはり建物を買うという姿勢が必要なのではないでしょうか。
※大半がその前に異なる理由で、建て替えや取り壊しになっているので平均寿命はもっとずっと少ないことになっているようです。
戸建ては定義同様の費用はないが、相当する修繕はあるので資金計画は必要
戸建てはすべて専有なので概念はありませんが、それに相当する敷地の管理や躯体の修繕は当然しないと老朽化も甚だしくなります。定期的に積み立てていないケースが多いので必要時にまとめて支出が増大するか見過ごしていくケースが多いですね。強制的な徴収のマンションと自由な積み立ての戸建て、家計における定期預金引き落としと自己積み立ての概念そのものです。
賃貸は通常、すべて家賃に含まれていると考える
自分が貸主の立場になればわかることです。含まれています、含みます、普通。管理費は共益費と呼称して別建てという場合もあります。
共益費は共有部分を使用するときにかかる費用であることに対し、管理費は物件そのものの維持・管理のための費用である、というニュアンスが強いですッ。
しかし、実際に明確な区別はなくて、家主さんや不動産屋さんによって定義がバラバラだったりするんだ。
だから、賃貸物件を探すときは共益費=管理費と考えても特に問題はないですッ!
出典:イエマミレ